
今年の秋は、東京で初めて『東京2025デフリンピック』が開催され、国内外から聞こえ方も言語も違う人がたくさん訪れ、
社会全体でコミュニケーションについて感じ、考える機会となりました。
デフリンピックと同タイミングの11月15日から始まり、12月7日まで開催した
YYSystemによる『世界に字幕を添える展 in 東京』では、東京の様々なシーンにYYSystemを導入し“字幕を添える”事で、
聞こえや言語が違う方も、誰もがコミュニケーションをとることができる催しを実施しました。
WEB・リアルさまざまな接点で多くの方々にご参加いただき本当にありがとうございました!
そんな『世界に字幕を添える展 in 東京』の実施内容や、気づきをレポートいたします。
- キックオフイベント「東京に字幕を添える会議」
- 「字幕を添える」はゴールではなく、はじまり。
- 「ここに字幕が欲しい!」皆の「声」で世界を少しずつ変えていく
- わいわいフレンズが大集合!“字幕”でコミュニケーションを楽しもう
- 最後は字幕で乾杯!クロージングパーティー
キックオフイベント「東京に字幕を添える会議」
『世界に字幕を添える展 in 東京』が始まる直前11月5日には、キックオフイベントとしてトークステージを開催しました。

(※詳細をご覧になりたい方は、こちらよりYoutubeの動画へアクセス)
まずは、2025年5月に開催した『世界に字幕を添える展 in ハラカド』での反響を受けて、
1回きりのイベントで終わるのではなく『世界に字幕を添えるプロジェクト』として長期的に取り組んでいく決意を、
YYSystem開発責任者の中村が宣言しスタート。
会の後半では、『世界に字幕を添える展 in 東京』の実施内容もご紹介させていただきました。

まず、ゲストとして登場したのは、東京2025デフリンピックサッカー競技のスペシャルサポーターを務める北澤豪さんと、
大会を目前に控えたデフサッカー男子日本代表・林滉大選手、デフサッカー女子日本代表・國島佳純選手。
北澤さんは、「生きている間に自分の国でデフリンピックを目撃できることは、そう無いタイミングなので、聞こえにくい人、聞こえる人たちも誰もがデフリンピックを見て感じたことを、世界に発信して行かなければと思いました。YYSystemのようなコミュニケーションツールは、メダルに近づける一つのシステムだと思います!」と期待を述べ、
選手のお二人には、サッカーとデフサッカーの違いや、補聴器も外し全く聞こえない環境下での視野の広さの重要さ、プレイの見どころ。
さらに、同じように聴覚障害を抱える人たちへ向けて、実体験を踏まえた熱いメッセージを伝えてくれました。

続いて、プロジェクトを応援している映画「みんな、おしゃべり!」の監督・河合健さんと、プロデューサーの小澤秀平さんが登場。
聞こえや言語の違う人たちを題材とした映画の内容をご紹介いただきました。
本作品は、YYSystemが劇中に登場しており、
河合監督は「通常こうした文字起こしアプリを劇中で使用する場合、(間違いが無いように文字起こしのディスプレイの)画面をつくるんですよ。だからお芝居で若干セリフが変わったりしてもいけない。本作はろう者のスタッフキャストが多数いるのですが、みんな普段なにを使っているの?と聞いたら、“YY文字起こし”の名前が出てきて、他のものとも検討したのですが、“YY文字起こし”の精度が良く、(役者さんのセリフを)一言一句そのまま出せたので、劇中もそのまま使用しました!」と
撮影がスムーズに進んだ裏話を聞かせてくださいました。
さらに、「みんな、おしゃべり!」が上映される映画館にもYYSystemや指差しシートを設置したり、
舞台挨拶にも“字幕”を添える等のコラボレーションが生まれています。

最後に、プロジェクトを応援していただいている、
ろうインフルエンサー・吉田まりさん、インフルエンサー・難聴うさぎさん、
手話パフォーマー・北村仁さんが登場しトーク。
司会から「こんな工夫があったらいいな思うことはありますか?」と尋ねられ、
吉田さんは、「様々な背景を持つ人がいる中で、一人ひとりが(文字起こしアプリの入った)スマフォを出すのは難しいですから、例えば胸の前にモニターを吊るしたり、顔に字幕が映るような事ができれば、相手の表情も見えて良いなと思います」とアイデアを語りました。
難聴うさぎさんは学生時代の経験から「聴者のみんなの会話に入った時に、なんでみんな笑っているのかわからず、雰囲気を壊したく無いから聞こえるふりをしていた。そんな時に、文字起こしアプリがあったらよかったなと思います。」と教えてくれました。
トークの最後に北村さんは、「デフリンピックが終わった後、デフリンピックを見て、私もやりたいぞと思う子供たちが増えると思うんですよ。その時に、この習い事したいと思っても(聞こえ方の違いによって)断られてしまうかもと思う人もいるかもしれない。また、断る方も辛い。そんな時に“字幕”があれば、お互いの怖さや壁がなくなって、挑戦しようと思っていたことにトライできる。自分の“できた”につながっていく。そんな事が起きたらいいなと思っています」と締め括りました。
様々なゲストや、沢山のお客様に応援いただき、“字幕”の可能性を改めて感じながら、
華々しいスタートを切ることができました。
「字幕を添える」はゴールではなく、はじまり。
キックオフイベントを皮切りに、『世界に字幕を添える展in東京』開催前から取り組みに賛同し、YYSystemを設置して“字幕”を添えたり、指差しシートや筆談の備えをしてくれるお店や施設・通称「わいわいスポット」を募集。
当初45件しかなかったスポットは、なんと最終的には127件に増えました!(2025年12月7日時点)

YYSystemが東京2025デフリンピックのトータルサポートメンバーを務め、
選手村含む全ての大会会場にも設置してもらうことができましたが、それだけでなく、カフェ・レストラン・美容院・サウナ施設・ドラッグストア・駅・ホテル・映画館・イベント等、日常のあらゆるシーンに字幕を添えることができました。
これらの「わいわいスポット」は、今回公開された新しいマップアプリ「YYMaps」に掲載されおり、
スポットに行くことでスタンプがもらえるデジタルスタンプラリーも期間中開催。
多くの方々に楽しみながら、“字幕”の必要性や有用性を感じていただくことに繋がりました。

一方で、実際に設置することで気がつく課題点もありました。
例えば、「しながわ水族館」「浅草演芸ホール」などでは受付にYYSystemを設置いただいていますが、
ショーや演目での字幕利用はまだできていません。ただ設置することがゴールなのではなく「定着」や「活用」が必要です。
こうした「伸びしろ」に、本プロジェクトでは向き合い続けていきたいと考えています。
「ここに字幕が欲しい!」皆の「声」で世界を少しずつ変えていく

今回多くの「わいわいスポット」を増やすことができましたが、それでも日常の中にはまだまだ“字幕”が当たり前に無い場所が沢山あります。
そこで『世界に字幕を添える展in東京』期間中に「YYMaps」で“字幕”を添えてほしい場所の希望を投稿できる「わいわいリクエスト」という機能を公開。
最終的に集まった投稿数は154件!具体的な理由や実体験を元に様々な声が集まりました。

割合として最も多かったのが「観光・アミューズメント」(21.8%)でした。
次いで上位に上がったのが「交通機関」(14.9%)「飲食」(12.9%)「官公庁・公的機関」(9.2%)です。
ライフラインとして必要な場所はもちろんですが、人生を豊かにする様な場所でも、もっとスムーズにコミュニケーションしたいと願う意見が集まりました。
さらに、海外の方が集まる場所であることも多く、多言語対応への意見も見られました。
また、東京がメイン会場でしたが、関東・関西・熊本と様々な地域にもリクエストを寄せていただくことができました。

今回、「わいわいリクエスト」やオープンチャット等を通じて、様々な「声」をいただきながらYYSystemの導入やイベント企画につなげていきました。
一人ひとりの「声」が実際に世界を変えていく。
こうしたプロセスづくりが『世界に字幕を添える展in東京』のチャレンジの1つです。
わいわいフレンズが大集合!“字幕”でコミュニケーションを楽しもう
『世界に字幕を添える展in東京』会期中には、様々なスペシャルイベントも開催しました。
11月22日には、都立明治公園で「わいわいフレンズを探せ!」を開催。
ろうインフルエンサーの吉田まりさん、インフルエンサーの難聴うさぎさん、手話を伝える姉妹ユニットのLand Heyさん など、お揃いの衣装を着た「わいわいフレンズ」が登場。
公園内に“潜む”わいわいフレンズを、「YYMaps」に表示される位置情報を手がかりに探し出し、声を掛け、条件をクリアした方には特典をプレゼントしました。

大人も子供も、聞こえや言語の違う人も、楽しく遊びながら
YYSystemや指差しシートを使ってコミュニケーションを取る体験をしていただきました。

わいわいフレンズとして出演いただいた吉田まりさんは
「22日のYYさんを探せのイベントでは、会場となった公園にたまたま遊びに来てた幼稚園生が[なんで声出さないのお?聞こえないのお?]と聞いてきたんですね。 YY文字起こしを使ってちょっと遊んだんですが、声を出さない全く聞こえない人がこの世の中にいて可視化して音声を知る必要があるんだ、こうやって会話ができるんだと知ってもらえた機会になったと思います。 」と
後日イベントの感想を伝えてくれました。

最後は字幕で乾杯!クロージングパーティー

最終日の12月7日の夜には、「字幕で乾杯!クロージングパーティー」と題して、
『世界に字幕を添える展in東京』のフィナーレイベントを開催。
リアル会場・オンラインから多くの方々にお集まりいただきました。
「字幕で乾杯!」のタイトル通り、会場の様々な場所にYYSystemによって字幕を添え、
指差しシートや筆談ボード、手話通訳さんなど誰でもコミュニケーションを楽しめる環境づくりを目指しました。

会の前半では、最終的にリアル・WEBを含め、約2000人を超える方々と接点を持つことができた
『世界に字幕を添える展in東京』の速報レポートをご紹介。

後半では、同時開催されていた「世界に字幕を添えるコンテスト2025」の表彰式を開催しました。
皆さんの「字幕」にまつわる体験談やアイデアを募集し、寄せられた事例を発掘・表彰・発信することで、
”字幕が当たり前にある社会”を共に広げていくことを目指した本コンテストは、応募総数112作品となりました。

選び切れない素晴らしいエピソードやアイデアの中から選ばれた上位入賞者を
ご紹介、表彰いたしました。
★コンテスト概要と受賞作品一覧はこちら
最後に、YYSystemスタッフ小澤から
「今回の取り組みを受けて、“字幕”は万能でなく、“字幕”だけで全てが解決するわけではないと私たちは考えています。“字幕”は、意思疎通の手段のひとつ。大切なのは、“字幕”を選べる状態を作ることです。YYSystemとしては“字幕”の分野で進みつつ、皆さんと一緒に、“意思疎通のあり方”そのものを前に進めていきたいと思っています。」
と全体を振り返りました。

『世界に字幕を添える展in東京』はこれにて終了しましたが、
『世界に字幕を添えるプロジェクト』としてYYSystemの挑戦は続きます。
誰もがいつでもどこでも当たり前にコミュニケーションできる世界を目指してまいりますので、
これからも応援よろしくお願いいたします。